純粋な裏声(ピュアファルセット)の出し方や練習方法【参考音源あり】

雫
  • 息漏れの多い裏声のコツを知りたい
  • 裏声が綺麗に出せない、裏声の音域が狭いなど、裏声の悩みを解決したい
  • ボイトレを始めたいけど、どんな練習から始めたらいいのかがわからない

この記事では裏声の練習方法の中でも基礎となる「純粋な裏声」について紹介します。

ほぼ場所を問わず小声でできる練習なので、特に息漏れの少ない裏声しか今まで練習してこなかったという方は是非チャレンジしてみてください。

参考までに、ボイトレ始めて1ヶ月の頃(2016年12月)と現在(2019年5月)の裏声の比較音源です。こういった息漏れの少ない裏声にも効果がある練習になります。※音量注意

 

純粋な裏声(ピュアファルセット)とは?

 

純粋な裏声の概要と、正しく発声する上でのポイントを簡単に解説します。

 

定義

次の4つの条件を守ることで裏声を純粋な形で出すことができます。

  • 息漏れが非常に多く、2〜3秒しか発声が続かない
  • 「ウ」の母音で出す
  • ビブラートをかけず、まっすぐ発声する
  • B3(mid2B)〜B4(hiB)の音域で発声する

参考元フースラーメソード入門

 

音色

 

続いて音色を真似してみましょう。先述の定義に従うとこんな声になります。

ため息に声を乗せるようなイメージで、「フゥー」と出します。声量はできるだけ出さず、無機質で弱々しい音色を目指しましょう。

また、喉頭(喉仏がある部分)の位置は極端に高くなったり低くなったりしないのが望ましいです。音色から喉頭位置が判別できない場合、ぴとっと優しく指で喉仏を触りながら発声してみましょう。(喉仏を押さえつけたりして固定するのはNG!)

NG例もいくつか載せておきます。

 

上記はあくまで「純粋な裏声を練習する時」のNG例であり、出してはいけない声というわけではありません。

 

 

 

参考動画

 

参考:息漏れのある裏声(ファルセット)を使う歌手

単純発声よりモノマネの方がイメージを掴みやすい場合もあるので、先述した純粋な裏声の定義からは外れていますがファルセットの綺麗な曲を紹介します。

ほとんどカラオケでも配信されている曲なので、実際に歌ってみるのもいいでしょう。

 

練習の進め方

 

まだまだ私も練習中の身ですが、独学者向けに訓練の手順を紹介します。発声難易度が高いため、できなかった人が1週間やそこらでできるようにはならないと思います。(私は純粋な裏声だけは毎日欠かさず練習しているのですが、安定してきたなと思えるレベルになるまで1年半かかりました。)根気よくトレーニングを続けましょう。

  • STEP1
    まずは音色を真似してみる
    B3〜B4の間でやりやすい高さから出してみましょう。定義やNG例も紹介しましたが、初めは「〜しなきゃいけない・〜しちゃいけない」とあれこれ考えながら練習するよりはひたすら音色を真似することが大事です。また、息漏れのない裏声など別のトレーニングと並行しても大丈夫です。
  • STEP2
    録音した声を聴く→試行錯誤しながら音色を息っぽくしていく
    これを繰り返します。自分の声を客観的に聴くために、スマホのボイスレコーダーなどで構わないので録音をしましょう。
  • STEP3
    B3〜B4の音域である程度同じように純粋な裏声を出せるようにする
    ここがひとまずこの記事で目指すゴールです。音高によって息の量や音色、声量が変化しないのが理想です。

 

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上手く出せない時の対処方法

 

※適切な対処方法は個々人の喉の状態によって異なります。この記事を見ても上手くいかない、上手くできてるかわからない場合は優秀なボイストレーナーに相談することをおすすめします。

 

息を吸いながら裏声を出してみる

 

純粋な裏声を始めとする裏声が出しにくい原因として、声帯が上手く開いてくれない、裏声が地声っぽくなってしまうことが挙げられます。

そこで、試しに息を吸いながら裏声を出してみましょう。

吸気裏声

※後半10秒間はNG例です。「ホーホー」とフクロウのような声で出し、雑音や地声のような響きが混ざらないように意識してください。

吸気発声は声帯を開くための筋肉が働きやすいので、これを繰り返すことでだんだん息を吐きながらでも裏声が出やすくなります。

参考元吸気発声時における後輪状披裂筋の活動。

 

 

吸気発声に慣れていない場合、初めはむせたり痒みを感じたりすることがあります。そういう時は無理せず時間をおいてから再チャレンジしてみてください。

 

 

参考動画(吸気裏声は7:02〜)

 

できるだけ全身がリラックスした状態で発声する

 

発声練習は基本的に「必要なところに力を入れて、不要な力みは無くす」ことが重要ですが、純粋な裏声に関しては脱力が要になります。手で触れた時や感覚的にわかりやすい部分としては、

  • 「ウ母音」の形を作ろうとして唇に力が入っている
  • 良い姿勢を保とうとして、お腹や、背中から首にかけての筋肉が働いている
  • 喉頭位置が上がるのを抑えようとして、余計な筋肉が働いている

などでしょうか。無意識に↑のような力みが発声していた場合、それを取り除くとより純粋性の高い裏声を出せるかもしれません。ただし人によっては「力まないようにしよう」という意識が力みを生む場合もあるので、リラックスを意識する・しないで音色がどう変わるか自分で検証するのが良さそうです。

また、精神的にもリラックスしている方が出しやすいです。私は楽な姿勢でお風呂に浸かりながらふ〜っと出しています。

 

条件を1つずつ満たしていく

 

純粋な裏声の定義をおさらいしましょう。

  • 息漏れが非常に多く、2〜3秒しか発声が続かない
  • 「ウ」の母音で出す
  • ビブラートをかけず、まっすぐ発声する
  • B3(mid2B)〜B4(hiB)の音域で発声する

まずは↑の中から満たしやすい条件の2と4を選び、息漏れがなくてもいいので「フゥー」と裏声を出してみましょう。母音を意識するのは大切なのですが、唇で息をせき止めないように。

残りは1と3になるわけですが、これらの両立が非常に難しいです。

どうしてもビブラートがかかってしまうケースを除いて、次の段階としてはノンビブラートで発声できるようにします。そして最重要である「息漏れ」は先述の吸気裏声を行うことで獲得していきます。

 

純粋な裏声を練習する必要性

 

効率よく輪状甲状筋を鍛えることができる

 

ボイトレ学習者
ボイトレ学習者

そもそもなんで裏声の練習が必要なの?

shinta
shinta

それについて簡潔に説明するよ!

 

まず声というのは声帯の振動の仕方によって地声・裏声の2種類に分かれています。そして裏声系の筋肉(裏声発声時に主に働く筋肉)は決まっていて、輪状甲状筋(声帯を薄く引き延ばす筋肉)と後輪状披裂筋(声帯を開く筋肉)があります。これらを鍛えることで以下のような効果があります。

  • 地声・裏声ともに高音が出せるようになる
  • ピッチ(音の高さ)を調節しやすくなる

しかし、多くの人は最初から声量を出そうとして息漏れのない裏声ばかりを練習します。これでは地声系の筋肉も働いているため負荷が分散してしまいます。(例えるなら筋トレ用語でいう「効かせる」ことができていない状態です。)

息漏れの強い裏声というのは、地声系の筋肉(内甲状披裂筋(内筋):声帯を厚くして声を地声っぽい響きにする筋肉や、閉鎖筋群:声帯を閉じるための筋肉の集まり)などがほぼ働いていない状態です。

この状態を狙って取り出せるようにすることで、次第に息漏れのない裏声を出す時も地声系の筋肉を抑えられるようになります。(※厳密には、ほぼ内筋が活動せず、閉鎖筋群はしっかり働いている状態。)

従って裏声全般の純粋性が高まり、効率よく輪状甲状筋を鍛えることができるというわけですね。

 

その他の効果

 

ここからは私の体感も交えてになります。細かい解説は省くので、本当に効果があるかはご自身の喉で確かめてみてください。デメリットは「とにかく地味でつまらない」ぐらいなので、まずはやってみるのが吉です。

 

  • 裏声の音域が広がる:内筋の活動が抑えられることが関係してそうです。
  • 裏声の声質が良くなる:これも内筋の働き具合が関係してそうです。
  • 声の調子を確かめやすくなる:純粋な裏声は繊細なバランスで成り立ってるため、出しやすさである程度喉のコンディションをはかることができます。
  • 発声時の地声と裏声の感覚が研ぎ澄まされる:地声系の筋肉がほぼ働いていない「裏声らしい裏声」の状態を作ることで、地声と裏声を区別しやすくなります。
  • 声の音色や動きに柔軟性を与える:裏声系の筋肉を鍛えることによる効果です。
  • 声帯の開き(閉じ)具合を調節できるようになる:声帯を閉じる系の練習と併せて行うことによる効果。声帯を開く筋肉は声帯を閉じる筋肉の拮抗筋(反対の動きを担う筋肉)なので、どちらもバランスよく鍛えましょう。

 

まとめ

 

この記事では純粋な裏声の出し方や練習方法を紹介しました。

ボイトレで必須の裏声練習の中でも基礎になる声なので、「ボイトレって何をすればいいのかわからない」という人はまず純粋な裏声から始めてみてはいかがでしょうか。

お返事できるかはわかりませんが、ご質問・ご感想などありましたらTwitterまでお願いします。

 

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\ 純粋な裏声について書いてある本 /

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